「最強の投資家」バフェットが最近買った2銘柄、 なぜ今買うべき「ではない」のか?
「史上最強の投資家」「投資の神様」などと称される著名投資家ウォーレン・バフェット氏の売買銘柄は世界中から注目されています。ですが、必ずしもバフェット氏が購入した銘柄を今買うのが正解というわけではありません。バフェット氏が率いる投資会社バークシャー・ハサウェイが最近購入した2銘柄が、現時点では魅力に欠ける理由を解説します。
Susan Dziubinski モーニングスター 個人投資家向け 投資スペシャリスト
翻訳:FinTech Journal 編集部
世界が注視する「史上最高の投資家」の売買銘柄
ウォーレン・バフェット氏のバークシャー・ハサウェイが売買している銘柄を注意深く観察している投資家は多いでしょう。ほぼすべての人がバフェット氏を、史上最高の投資家の1人と考えているからです。
本日は、バークシャー・ハサウェイがここのところ購入している2銘柄について見ていきましょう。
バフェット氏が最近買った2銘柄
- ドミノ・ピザ
- シリウスXMホールディングス
バフェット氏が買っていても「買うべきではない」ワケ
本日取り上げるバフェット氏の買い銘柄の1つ目は、ドミノ・ピザです。バークシャー・ハサウェイは第3四半期中にドミノの株式を新たに取得しました。ドミノは多くの点でバークシャー・ハサウェイにとって当然の選択と言えます。
まず、ドミノはWideなエコノミックモート(※)を切り開いてきましたが、これは外食産業では容易なことではありません。スイッチングコスト(乗り換えにくさ)が最小限で、消費者の嗜好は進化し、技術革新が絶え間なく行われる業界だからです。
※ エコノミックモート評価とは、米モーニングスターが企業の競争力の強さと持続可能性について「Wide(広い)」「Narrow(狭い)」「None(なし)」という3段階で評価しているものである。なお、「Wide」のほうが高い競争優位性を示す。
注目すべきは、ドミノがオペレーターの収益性に配慮することで、外食産業で最も優れた店舗レベルの経済性と成長展望を生み出していることです。また、同社のブランド強化投資と最近の経営革新に基づいて、米モーニングスターでは同社経営陣の資本配分をExemplary(模範的)と評価(※)しています。
※ 資本配分評価は、企業がバランスシート投資と株主への分配をどれだけ適切に管理しているかを評価したもの。経営陣が株主還元をどれだけ適切に行っているかについて、「Exemplary(模範的)」「Standard(標準的)」「Poor(不十分)」のいずれかでアナリストチームが評価。
株価が適正ならドミノ・ピザは保有すべき優良銘柄だと考えられますが、米モーニングスターの指標によれば、現在の株価は適正ではありません。現在は米モーニングスターの推定公正価値である415ドル近辺となっており、私たちなら安全マージンを待ってからピックアップすることになるでしょう。
プロが「バフェットらしくない」投資と見るワケ
本日2つ目に紹介するバフェット氏の買い銘柄は、シリウスXMホールディングスです。バークシャーは10月にシリウスXM株を追加購入しており、本日現在、シリウスXMの発行済み株式の3分の1を保有していると推定されます。
ドミノに対する投資とは異なり、シリウスXMに対するバークシャーの投資は、いかにもバフェット氏らしい投資ではありません。同社はエコノミックモートを備えておらず、ストリーミングサービスとの競争は勝ち目がないだろうと考える人が多く、シリウスXMが今後加入者ベースを拡大するのは簡単ではないだろうと米モーニングスターは考えています。
2024年初め、多くのバフェットウォッチャーはバークシャーがある種の裁定取引を行っていると考えていました。バークシャーが9月にシリウスXMと合併したリバティ・メディアのシリウスXM連動株式を保有していたからです。
しかし、合併後の株式購入はそれ以上の何かがある可能性を示唆しています、ただしバフェット氏はまだこのポジションについて公にコメントしていません。さて、シリウスXMは買いでしょうか? 私たちはそう思いません。この銘柄を取り巻く不確実性の高さを考えればなおさらです。 ◇