Morningstar インタビュー マーク・フリードマン氏が語る「アンコール・キャリア」(後編)

~人生の後半に生きがいのある仕事に就くことの重要性、

誰もが社会に貢献できる経験と能力、潜在的な可能性を持つ

その力を発揮する機会を、富裕層だけでなく拡大するには~

 

 

 

 

ゲスト:マーク・フリードマン氏 Encore.org CEO 創立者

 

聴き手:クリスティン・べンツ Morningstar, パーソナル・ファイナンス/リタイアメント・プランニング・ディレクター

エイミ-・アーノット Morningstar Research Services, ポートフォリオ・ストラテジスト

 

 

ベンツ:今回の「The Long View」では、引き続き作家であり企業家でもあるマーク・フリードマンさんにお話をうかがいます。フリードマンさんは人生の後半に生きがいのある仕事を求める人々を支援する「Encore.org」の創立者であり、社長兼CEOで、『How to Live Forever: The Enduring Power of Connecting the Generations(永遠に生きるには:世代をつなぐ永続的な力)』の著者でもあります。また、米国22都市で50歳以上の人々が、低所得層の小学生の学業成績を向上させ将来の可能性を広げることに取り組む「Experience Corps」を共同設立しました。第二の人生ともいえる中年期以降からの新たな仕事へのチャレンジについて、社会のニーズも個人の希望も増大する時代にどのようなインフラや支援が必要かについても聞きたいと思います。

 

 

新たな人生への社会的な橋渡しが必要

 

 

アーノット: 本人のためにも、社会のためにも、高齢者に大いに活躍してもらう時代ですね。しかし同時に、先ほどアーサー・ブルックス氏の話をされましたが、彼は中年期に多くの人が経験する行き詰まり感、キャリアが失速しているように感じたり、クリエイティブな仕事については大きな進歩がなく、若いころのように突破口が開けなかったりという現象についても書いておられます。そのような状況にある人々が、創造性や生産性の第2の開花への架け橋を自分で作ることができるように、何かアドバイスはありますか?

 

 

フリードマン: まさに「橋を架ける」ということが重要なポイントですが、ご指摘の通り、皆、自分で対処せざるを得ない状況です。しかしそれは簡単なことではありません。青年期を乗り越えたばかりの若者たちに「5年以内に大人になってほしい」と言うようなものです。彼らは、最終章が終わってしまったという行き詰まりに陥っているのだと思いますが、だからといって、彼らの貢献力、創造性、発想が終わりを迎えたわけではありません。

 

 

私たちは、彼らに学習し、インターンシップに参加し、探求し、休息して新たな人生の章に備える機会をもっと提供する必要がありますが、現時点ではそれはとても困難です。彼らに最終的に必要なのは想像力だと思います。ロールモデルや、こうした人生の移行期を経験した人々の例が必要だと思います。人生のこの段階にある人々にとって、目的を達成するためのより良い道筋が必要であり、その必要を満たすためのイノベーションには投資が不可欠です。人口の規模や機会に見合った規模で実現できるように、もっと資源を投入する必要があります。

 

 

社会保障制度から今日の話を始めたので、選択肢の中からひとつアイデアを挙げたいと思います。50歳代の人たちが学校に戻るために、社会保障を早期に受給できる機会を設けたらどうでしょうか。そのかわり、最終的に当初通りの給付額を受け取れるように、積立期間を調整して働きます。人生の後半にある人たちのための「復員軍人援護法(G.I. Bill of Rights)」(第二次世界大戦から帰還した退役軍人に十分な報酬を給付するために1944年に制定された米国の法律)に近いものになるでしょう。誰もが「バウチャー(受け取りのための証券)」を持つことになり、そうすれば高等教育も変わってくるはずです。この世代のための多くのプログラムが創設されるでしょう。これが万能な解決策だとは言いませんが、どのような規模でこれを行うべきかという議論すらされていません。

 

 

もうひとつ例を挙げましょう。私の好きなプログラムのひとつに「Troops to Teachers」があり、これは退役軍人が公立学校の教師になるのを支援するものです。このプログラムには、砂漠の真ん中で18歳の未熟な子どもたちと一緒にいたのだから、教室で17歳の未熟な子どもたちと一緒にいてもうまくいくかもしれないという基本的な洞察があります。また、18歳で軍隊に入る人の多くは、学校に行くことができないために軍隊に入るのだから、社会的流動性(所得階層間の移動)が進む可能性もあります。「Troops to Teachers」のようなプログラムは、人々がより高みを目指すために必要な教育を受けられるように支援することを目的としていますが、それまでに積み上げた経験を活かしながら、新たな方法でその経験を活用し、新たな目標を達成しようとするものです。

 

 

過去の常識を覆し、人生充実のための機会拡大を

 

 

ベンツ: この分野と富という観点において、所得と教育が果たす役割について教えてください。所得や教育水準が高まるほど、選択肢が増えるように見えるからです。所得や学歴が高ければ将来の計画をより容易に描くことができると思います。この領域における資産の役割について論じていただけますか。以前、ウィスコンシン大学のアニタ・ムカルジー教授をゲストにお招きし、平均寿命の延びや長寿の恩恵は主に裕福な人たちにもたらされ、彼らはその恩恵を受けて長い期間働き、退職後も長生きし、より健康でいられ、人生の後半により幸せな歳月を過ごしている、というお話を伺いました。「アンコール・キャリア」がすべての人のためのものなのか、それとも現時点では裕福な人たちのためのものなのか、その点について教えて頂けますか?

 

 

フリードマン: これは大きな問題で、今のようなDIY(自分で全部やる)の世界では、富裕層に不公平に利益がもたらされていると思います。先ほどハーバードやスタンフォード、ノートルダムなどの高等教育プログラムの話をしました。素晴らしいプログラムですが、授業料は年間6万㌦も7万㌦もしますし、これには、ノートルダム大学のあるサウスベンドやスタンフォード大学のあるパロアルトに引っ越すのにかかる費用は含まれていません。ですから、非常に創造的な取り組みであると私が考えているのは、チップ・コンリー氏(※)がバハ・カリフォルニアに設立した「Modern Elder Academy」で、もうすぐサンタフェでも開校される予定です。しかし、これらの取り組みのすべてが、より恵まれた環境にいる人々を惹きつけているにすぎません。

 

 

※チップ・コンリー:Airbnbのグローバル・ホスピタリティ責任者を経て、『モダンエルダー 40代以上が「職場の賢者」を目指すこれからの働き方』(日経BP)の内容をベースにしたプログラムを受講できる「モダンエルダー・アカデミー」を2018年に設立、知恵と経験によって尊敬される「新しい年長者」としての働き方を提唱している。

 

 

つまり、私が今説明した「Troops to Teachers」プログラムのように、機会を広げ、銀行口座を持てない膨大な数の人々が学校に戻ったり、再教育を受けたり、技術を身に着けたり、新たな役割に挑戦したりするためのサポートを提供することが課題なのです。私たちはこの分野で優れた人材を十分に確保できていないのです。

 

 

アーノット: もしあなたが50代や60代で、「アンコール・キャリア」という考えに魅せられ、でも給料という安定を手放すことに少し不安を感じているのだとしたら、決断をする際に考えたいことは何だと思いますか? また、現在の仕事をさらに数年間続けるよりも「アンコール・キャリア」を選択することの主な恩恵は何だと思いますか?

 

 

フリードマン: 的を射た質問だと思います。仕事を続けるという選択肢は短期的な視点です。もし本当に、充実感や朝起きる理由、社会との強いつながり、長期にわたり所得を得られるような、まったく新しい章に進みたいのであれば、別の視点、別の時間軸が必要です。時間は本当に重要だと思います。この先10年、20年、何をしていくかを考えるのであれば、我慢して仕事をするよりも、一歩退いて自分のスキルに再投資したり、インターンシップやフェローシップのようなものに参加したりする方がいいと思います。ボランティア活動を通じてでもいいでしょう。

 

 

ほとんどの場合、「アンコール・キャリア」に進めば最初から、あるいは簡単に成功するわけではないと肝に銘じる必要があります。うまくいくまでに数年かかるかもしれません。私としては、時間軸を正しく把握することが重要だと考えています。10年、20年先を考えていて、移行に1年、2年、3年かかるかもしれないということを認識しているのであれば、それに合わせて計画を立てるべきだと思います。トレードオフとして検討する価値があるのは、長期退職プランから資金を引出し、その一部を「アンコール・キャリア」に移行するために使うかどうかだと思います。自分に投資したり、インターンシップに時間を割いたり。新たな章に進む準備をするために資産を再配分することは、人生が長くなり、労働寿命が長くなっていることを受け入れる一つの選択肢だと思います。ただ茫然と深淵を避けるのではなく、人生にもうひとつの章を加えるのです。

 

 

世界は世代両極の協働へと進みはじめている

 

 

ベンツ: では、少し話を戻して、仕事を続けることで得られる多くの恩恵について教えて頂けますか?身体的な活動や人間関係など、多くの恩恵をもたらしているように思えますが、データからはどのようなことが言えるのでしょうか?

 

 

フリードマン: 経済的な安定、社会とのつながり、そして生きがいの3つが主な利点だと思います。ここ数カ月放映されている『Blue Zones』シリーズ(NETFLIXが放映する5つの長寿コミュニティのドキュメンタリー)などからも分かるように、生きがいと健康は切っても切り離せない関係にあることが現在多くの研究によって明らかになっています。また、社会とのつながりに関しても、第19代、21代アメリカ公衆衛生局長官ヴィヴェック・マーシー氏によれば、私たちは孤独と孤立がまん延する中にいます。多くの人が職場から社会とのつながりを得ています。つまり、所得の安定、社会とのつながり、そして継続的な生きがいが三位一体となって、長く働くことの利点となるのです。

 

 

詩人マージ・ピアシーの『To Be of Use』という詩に 「壺は運ぶための水を 人は仕事を 切実に必要としている それは本当のこと(※)」という私の好きな一節があります。人が仕事を求めることは有効期限のあるものではなく、中年期に限定されるものでもありません。60代、70代、それより年をとっても、人々が心に深く感じるものだと思います。つまり、生きがい・人とのつながり・経済的な安心感、これらすべてが長く働くことの利点であり、密接で切り離せない関係にあるのです。

 

 

※『To Be of Use』の最後の一節:ワインや油のためのギリシャのアンフォラ(壺) トウモロコシで満たされていたホピ族の壺 いくつもの空の壺が博物館に置かれている けれどそれらは使われるために作られたのだ 壺は運ぶための水を 人は仕事を 切実に必要としている それは本当のこと

 

 

アーノット: それは素晴らしいご指摘だと思います。役に立ちたい、やりがいのある仕事をしたいという強い願望があります。やりがいのある仕事を追求し続けたいが、職場や学校に戻ることで年齢差別に直面することを心配している人がいるとしたら、それに対処する方法はありますか? あるいは、年齢を重ねるにつれて、自分自身をより仕事にふさわしく、脆弱ではない存在に見せ、年齢差別の影響を受けにくくするためにできることはありますか?

 

 

フリードマン: より多くの人々が時代遅れの常識を覆すような方法で社会に貢献することを主張することの利点の一つは、それによって社会全体が良くなることだと思います。それは、1970年代にそれまでの世代が締め出されていた仕事に進出し、社会から否定されることを拒否した女性たちのことを思い起こさせます。ですから、時代遅れの考え方やその他の障壁にもかかわらず、前へ進もうとする人々が、若い世代にとっても良い状況を生み出すというやり方があると思います。

 

 

とはいえ、おそらく私たちの多くにとってそれは気休め程度でしょう。私は、継続的な学習と成長に集中することは、認知機能の維持や、それ以外の面でも自身の健康に良いだけでなく、私たちがどのような人間であるかという強力なメッセージを送ることだと私は考えています。そして、若い同僚との関係を大切にし、伝統的な年長者から後の世代へのメンタリングだけでなく、世代分布の両端にいる人たちが互いに学び合うコメンタリング(教え合い学び合う)の機会を生みだすこと、この2つが私たちが関係を保ち学び続けるための方法だと思います。それはまた、世代間の断絶によって私たちが失った多くのもの――誰が社会の貢献者であるか、人生の全体性の感覚を提供すること――を取り戻し、いつの間にか根付いてしまった文化的なしきたりを変えることに役立つと思います。

 

 

ベンツ: 以前のゲストでお迎えした、仕事とお金、人生についての著書があるケリー・ハノン氏は、パンデミックによってリモートワークが常態化し、それは高齢者にとって本当に良いことで、住みたい場所に住むことができ、通勤する必要がなくなるということを指摘していました。また、彼女は、年齢差別は、直接会わなければあまり問題にならないかもしれないということも指摘していました。しかし、これはすこし悲しい気がしまし、むしろ、あなたの考える職場における年齢の多様性に反していますよね? 完全な仮想環境での方が年齢の多様性は実現できるのでしょうか? それとも、他の人と物理的に一緒にいることが重要でしょうか?

 

 

フリードマン: 私は実際に顔を合わせることが大切だ思います。若い人たちに自分の将来に何が待っているのか実感をもってもらうために、我々は自分の年齢を受け入れる必要があると思います。でも、私は文化的な領域で目にし始めていることに救いを感じ、とても勇気づけられています。長い間、私たちはポップカルチャーを年齢差別の根源だと考えていました。しかし、先日放映されたグラミー賞授賞式では、80歳のジョニ・ミッチェルが、彼女の一番の擁護者であり、年齢が彼女の半分くらいのブランディ・カーライルとともに出演していました。そこには、トレイシー・チャップマンとルーク・コムズもいました。チャップマンはもうすぐ60歳になりますし、コムズは30代前半です。ビリー・ジョエルが出演したのも、ある若者が彼の作品に深く感銘し、再び曲を書き始めるよう懇願したためです。

 

 

あるいは『The Intern(邦題は「マイ・インターン」)』のような映画や、『Only Murders in the Building(同「マーダーズ・イン・ビルディング」)』や『Hacks』のようなドラマでも同様の現象が見られます。これらの物語では、高齢者が貢献し続けるだけでなく、若者と高齢者が一緒になって、ひとつの世代だけではできなかったことを成し遂げている姿が描かれています。

 

 

私たちは昨年、シカゴ大学と共同で調査を行い、高齢者と若年層は特に気候変動やメンタルヘルスのような問題において、互いに協力することに高い関心を持っていることが明らかになりました。そして最も印象的だったのは、世代を超えた協力に高い関心があるのは人種を問わず若者たちだったということです。つまり、長年にわたる年齢差別との戦いの中で、実際に高齢者を受け入れ、協力し、一緒に働きたいと思っている新しい世代が生まれつつあるという兆候があり、映像で見ることもでき、現実の世界でも確認できるのです。だからといって、もはや年齢差別は存在しないと言うような極端に楽観主義に陥ることはありませんが、たしかに私たちは変化の真っ只中にいます。それはひとつの励みになると思います。

 

 

 

仕事を楽しみ、自らロールモデルとなることを目指す

 

 

アーノット: ここ数年で、ご自身の仕事の上でもいくつかの変化があったと思います。何を変えたのか、その理由について等うかがえますか。

 

 

フリードマン:昨年、私は65歳になりました。私はかつて(リンドン・ジョンソン第36代大統領政権で保健教育福祉長官を務めた)ジョン・ウィリアム・ガードナー氏とともに、我々の組織を立ち上げました。彼は1965年に「メディケア」(65歳以上の高齢者や身体障害者を対象とする米国の公的医療保険制度)を導入した人物です。そして突然、65歳になった私はメディケアカードを手にして、我々の組織も25周年を迎えたことに気づきました。実に衝撃的なことでした。そうして、私もぼちぼち「アンコール・キャリア」に移る時期が来たのだろうかと考え始め、私より四半世紀も年下の同僚、ユニス・リン・ニコルスに後継者にならないかと相談しました。彼女はその申し出を拒否し、その代わりに一緒にこの仕事をやらないかという提案を申し出ました。私はその言葉に感動したと言わざるを得ません。彼女をとても尊敬しています。そして、私たちの世代間協調リーダーシップの試みを通じて、年齢の多様性が力がもたらすという我々の組織の主張を体現するロールモデルになれるかもしれない、と思ったのです。

 

 

それから1年、これほど仕事を楽しんだことはないと言えることをうれしく思います。この経験から、人がしばしば直面する、働き続けるか引退するか、経営陣にとどまるか身を引くかという忌まわしい選択は、唯一の選択肢ではないということを思い知らされました。共に働き、共に創造し、互いの能力を分かち合うことで、非常に大きな機会生まれます。ですから、そのような協調体制を構築することができる他のリーダーたちの模範に、私たちがなれることを願っています。

 

 

 

アンコール・キャリアに適した役割

 

 

ベンツ: 非営利セクターは、「アンコール・キャリア」に適していると書かれていますね。その点について教えていただけますか?

 

 

フリードマン: まさにその通りなのです。私自身、四半世紀にわたって非営利組織に携わってきましたが、ここでは強い経営陣に対する評価や尊敬、渇望が非常に高まっています。戦略であれ、マーケティングであれ、財務的な課題であれ、他のセクターから来たその種の専門知識を持つ人たちが、この仕事を強化するのを支援する類まれな役目を負っています。実際、私たちが「Encore Fellowship」プログラムを創設した理由はそこにあります。プログラムでは、2300人のフェローが非営利団体で1000時間を費やしていますが、彼らはそれまでと全く異なる仕事をするわけではありません。インテルでマーケティングに携わっていた人なら、その地域の「ボーイズ・アンド・ガールズ・クラブ・オブ・アメリカ」でマーケティングの役割を担うという具合です。これは、年配の労働者が長年蓄積してきた経験を統合して、新たな環境でその経験を生かすという、融合の試みです。

 

 

言い換えると、新たな発明というよりも、持てる力を再統合するということです。ここで、特に教育について紹介したいことがあります。フィナンシャル・タイムズ紙のコラムニストであるルーシー・ケラウェイ氏のご息女が、英国で「Teach for America」(米国で大学卒業生を学校現場に派遣するプログラムを実施しているNPO)に似た活動を行っていました。「Teach for America」と同じくらい英国ではとても人気がありました。ケラウェイ氏は60歳になって、娘の行ってきた事を自分もやりたいと考えました。そこで彼女は「Now Teach」という組織を立ち上げ、STEM分野(科学/Science、技術/Technology、工学/Engineering、数学/Mathematics)のうち特に科学、技術、数学の教職に高齢者を採用しました。すると英国全土で大いに話題になり、定員に対して40倍の応募者があったといいます。

 

 

カリフォルニア大学の人類学者、マイケル・ガーヴェン博士と話していてわかったのですが、進化論の観点では、高齢者にとって最も自然な役割は「教えること」だと考えられているようです。ガーヴェン博士が狩猟採集民の部族の2万人を対象に行った調査から、それらの部族では年長者が教える役割を担っていることが分かったそうです。また、おばあさんシャチが若いシャチを教育する役割を担っていることが判明したという、新たな研究報告もあります。つまり、年長者がどのような役割を果たすべきかと我々は気をもんであれこれ議論していますが、生物の進化は、とっくにその答えを示しているというのです。シャチでさえそれを理解しているのだから、正式な教育であれ、そうでないものであれ、教育には大きな機会があるのです。

 

 

アーノット: 教職や教育というのは、多くの人が可能性を追求したいと思う道でしょう。でも、もしこの話を聞いている人が、どのような「アンコール・キャリア」を選ぶべきか少し迷っているのだとしたら、どのように考え、あるいは他の人からひらめきを得たらいいのか、何か助言はありますか?

 

 

フリードマン: いくつか考えがあります。ひとつは、私の同僚であるマルチ・アルボアーが書いた『The Encore Career Handbook』を読んでみることです。彼女は、ニューヨークタイムズ紙のキャリア・コラムニストで、ブロガーでもありますが、この著書は「アンコール・キャリア」に踏み切った人たちのエピソードが満載で、彼らがどうやってそれを実現したかが書かれています。

 

 

また、「Purpose Prize」の受賞者を見ることもお勧めします。「Purpose Prize」は、今は「AARP Purpose Prize」としてAARP(旧アメリカ退職者協会)が運営しています。人生の第2幕で最も充実した仕事をしている人たちの何百もの話があります。これも素晴らしいひらめきの源泉だと思います。また、新しい高等教育プログラムや「Modern Elder Academy」のような取り組みを知ることで、将来の可能性を探ることができると思います。

 

 

 

ベンツ: フリードマンさん。あなたのお話にとても刺激を受けました。今日はお時間を割いていただき、本当にありがとうございました。

 

 

アーノット: どうもありがとうございました。

 

 

フリードマン: どうもありがとう。クリスティン、エイミー、お二人とお話できて光栄でした。

 

 

◇(翻訳:モーニングスター・ジャパン 白石育子)

 

 
  • 本稿はMorningstarのThe Long View 「The Case for Encore Careers」をモーニングスター・ジャパンが翻訳したものです。参考リンクおよび動画へのリンク付きの英文は下記よりご覧いただけます。原文と翻訳に相違がある場合は、原文が優先されます。https://www.morningstar.com/personal-finance/marc-freedman-case-encore-careers 
 
 
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