<The Long View インタビュー> キャシー・ストークス氏が語る あなたを狙う詐欺から身を守る方法(後編)
相手の素性を確かめること、被害を届け出て情報を共有する
世界最大の高齢者によるNPO「AARP」の詐欺防止担当ディレクターが、今後増加しそうな金融詐欺、必ず行うべきデューデリジェンス、被害に合った場合に届け出をする意義などについて語ります。
今回のゲストは引き続きキャシー・ストークス氏(以下敬称略)です。キャシーは世界最大の高齢者によるNPO「AARP」の詐欺防止プログラムのディレクターであり、詐欺が高齢者の経済的な安定にもたらすリスクについて高齢者を教育するAARPの取り組みを主導しています。後編では全米に広がる詐欺の手口や、被害を避けるためにすべきこと、被害に遭った場合になぜ情報共有が重要かなどをお聞きします。
(※AARPは、50歳以上の会員を持つ全米、そして世界最大の高齢者によるNPOである。以前は「American Association of Retired Persons(全米退職者協会)」であったが、1999年から「AARP」が正式名称となった。)
<大手金融機関を名乗る詐欺も>
ベンツ: あなたが注目している投資関連の環境の中で、今はまだ本当に主要な投資詐欺分野として浮上していないけれど、将来そうなる可能性のある分野はありますか? 新たな問題が起きそうな分野は?
ストークス: そうですね、私が思いつくことでは、現在銀行業界で見られる投資アドバイスになりすました詐欺で、この分野でもっと犯罪が起こるのではないかと思います。これはここで話し合えると思います。また、人々が保険プランで多額の資産を保有していることに犯罪者が気づけば、ある種の保険商品はおそらく犯罪の舞台にのぼる期が熟しており、これもまた利用されるのではないかと思います。
アーノット: では、あなたが指摘された投資アドバイザーのなりすましについて、それがどんなもので、どのように起きるのか、もう少し詳しくお話しいただけますか?
ストークス:銀行で今、何が起こっているのかお話しましょう。最近目につく新手の詐欺のひとつは、銀行になりすました相手から詐欺メールが送られてくるものです。銀行から「この取引があなたのものであることをご確認ください」というメールを受け取ることに、誰しも慣れているでしょう。そして、あなたの銀行からメールが来ています。たとえば私がバンク・オブ・アメリカに口座を保有している場合は、バンク・オブ・アメリカと表示されます。「この取引は、あなたのものですか?」――なぜそんな質問が? 答えは「はい」か「いいえ」――そしてあなたは、反射的に「ちょっと待って、そんな取引はしていない」と感情的に反応して、とっさに「いいえ」をクリックします。すると次に起こることは――現実の銀行ならあり得ないのですが――この犯罪では、次にあなたに電話がかかってくるでしょう。バンク・オブ・アメリカの詐欺についての調査です。彼らはあなたのアカウントについて十分な情報を持っているようです。電話は、慣れ親しんだ銀行からの番号でかかってきます。
そして、彼らは「あなたのアカウントが現在ハッキングされた状態にある」とあなたに告げます。「どうかご心配なさらずに。私たちはあなたのお手伝いをします」。そこからは非常に複雑なスキームになりますが、最終的には、「口座名義人(あなた)がお金を「どこか」別のところに移動させることでお金を安全に保つ必要がある」のだと、犯罪者はあなたに信じ込ませます。そして、「どこか」というのが犯罪者のポケットだったことが判明したときには、彼らは完全に姿をくらませています。心配になって、翌日またはその日遅くに銀行に電話をかけます。すると、「何のお話でしょうか?」「それは私たちではありません」といった返事が銀行から返ってきます。資産運用アドバイスの分野でも、同様のことが起きています。
<相手の正体を調べる必要がある>
ベンツ: 私はそれについてもっと知りたかったのです。あなたのグループは、人々がデューデリジェンス(取引相手についての調査)を行うのを助けるために、多くの素晴らしい情報などをまとめました。誰かが投資アドバイザーであると名乗っている場合、その個人が本物かどうかを確認するためには、しかるべき手順を踏む必要があります。何をすればよいのか、重要な点を説明していただけますか? これを読んでいる消費者が、あるアドバイザーが正当な者かどうかを確認したいと思ったら、どうやって調べればよいのでしょうか?
ストークス: 自分で調べなければなりませんが、使えるツールがあります。もし誰かがアドバイザーであると名乗っているなら、本物かどうか調べてください。彼らがブローカーである場合は、brokercheck.finra.org で調べます。Finraは、証券業界を規制する機関で、あなたはここで調べることができます。投資アドバイザーであれば、証券取引委員会(SEC)からも非常に優れた情報が提供されています。investor.gov のサイトを閲覧すれば、これらの資料や情報が簡単に入手できます。このサイトは証券取引委員会による投資家教育とリソースのサイトですから、投資アドバイザーについて調べることができます。こうした情報源をぜひ活用してください。
詐欺犯罪に関わっている人々のほとんどは無登録です。本当に登録された業者なのか? これが最初に確認すべき重要なポイントです。同時に、一歩下がってみることも重要です。このような犯罪がでは常に、人々は追い詰められ、すぐに行動するように圧力をかけられるからです。一歩下がって考え、電話を切り、誰かと話し、要求に抵抗する暇はありません。しかし、もし、「今この世界で私たちが晒されているコミュニケーションは本当に信用できない」ということを思い出すことができれば。だから鳴っている電話の受話器を取り上げると、相手は「ブローカー」と名乗り、あなたに投資の機会を売ろうとしているということが起きるのです。これから私が言うことは、投資コミュニティにとっては決して素晴らしいことではないとわかっていますが、「信用してはいけません」。現在、かかってきた電話を信頼することはできないのです。
アーノット:電話やメール、書類など受け取るものは何でも、たとえそれが正当なコミュニケーションであるように見えても、おのずと懐疑的になる必要があるというのは重要なポイントだと思います。それでは、アカウントがハッキングされた、カードが盗まれたといった正当に見える通知やメールを銀行から受け取った場合、という先ほどのケースでは、対処するための最善のアプローチは何でしょうか? メールやテキストメッセージで連絡をとる代わりに、デビットカードの番号を使って直接銀行に電話をかければいいのでしょうか?
ストークス: その通りです。カード関連の場合はそのカードを裏返して、記載されている番号にあなたから電話してください。もし電話がその番号からかけて来ているように見えても、詐欺では簡単になりすまして見せることができます。ですから、相手に見せられている数字を正当性の指標として信用してはいけません。連絡先のメール、テキスト、音声を受け取っても、それがあなたを相手にビジネスをしている人からであっても、そこに連絡をしてはいけません。その連絡先が本当にAmazonなのか、それともバンク・オブ・アメリカなのか、確実に知ることはできないのです。もしあなたが口座を、どこにせよ誰かがなりすましを試みている可能性のあるオンライン口座を持っているなら、まず、そのアカウントにアクセスしてください。ウェブサイトの場合は、ログインします。アプリの場合でも、ログインします。あなたが電話で口座のある会社と関係を持っているならば、あなたは番号が何であるかを知っていますし、あなたの口座関連の過去の書類から電話番号を見つけることもできます。どうか、外部からやってくる着信や通信を信用するのはやめてください。
ベンツ: 金融サービス提供者、つまり正規の金融サービス企業側でも、顧客と接する担当者にこれらの問題を認識しさせ、顧客と協力してうまく舵取りできるように真剣に努力しているようです。銀行や投資機関によるこれらの取り組みは、消費者がこれらの悪質な犯罪の餌食になるのを防ぐ役割を十分に果たしていると思いますか?
ストークス: 一括りに表現するのは本当に難しいです。誰かが追い詰められて決定を下し、真実ではない何かを信じさせられている兆候について、人々を教育するためにとても熱心に働いている銀行やファイナンシャル・アドバイザーを私は知っています。そして、あなたが言うように、犯罪者を信頼してしまった人は、銀行の誰も信用できないと信じ込まされることがあり、ファイナンシャル・アドバイザーリー会社も信頼できない状態に陥ってしまいます。信じられるのは電話の相手だけ、と思い込んでいるのです。そうなると、最前線の銀行員が何かおかしいと気づいても、その被害者は自分が信じていることが真実だと思い込んで、銀行員が自分を騙そうとしているのではないかと心から信じているため、銀行員は非常に苦労するかもしれません。実に困難な話です。ソーシャル・エンジニアリング(※人々を巧みに操って目的を達成する詐欺)との闘いは、厳しいものです。しかし、銀行員に対する教育は重要です。AARPには、BankSafeと呼ばれるプログラムがあります。顧客と直接かかわる銀行員に、誰かが搾取されたり騙されたりしている兆候とはどんなものかを理解してもらうための教育活動です。
アーノット: 実用的な対処のひとつは、フィデリティ、バンガード、モルガンスタンレー、その他の大手企業とだけ取引を行うことであるように思われます。しかし、それらの大企業から来たと名乗る誰かによっても詐欺が行われた例もありますか?
ストークス: それは、私がおそらく次に起こり得る犯罪として前に述べたものです。今はそんな話は聞きませんが、起きていないとは思いません。銀行を狙う犯罪が起きているのであれば、ファイナンシャル・アドバイザリー会社を狙ったなりすましが起きる可能性は確かにあります。そして犯罪者は、確かにそれらの会社に口座を持っている人々が資産を引き出すように仕向けています。彼らを狙った犯罪は多発しています。そして、アドバイザーにはもう少し多くの自由に使えるツールがあると思います。銀行よりもアドバイザリー会社の方が、より日常的に信頼できる連絡先となるからです。顧客が資産を投資顧問の口座から銀行口座に移す場合、そこに脅威を認めれば、何が起こっているのか確認しようと努める間、アドバイザリー会社は資金を一時保留できるはずです。いずれにせよ、そこにお金があり、しかもそれが多額であれば、どんなところへでも犯罪者は追いかけると思います。
<信頼する代理人を決めておく意味>
ベンツ: 自分のポートフォリオを管理することに大層熱心な高齢者についてお聞きしたいと思います。私たちのMorningstar.comはそのような方が大勢活用してくれています。彼らは本当にアクティブで熱心な個人投資家です。彼らがDIY投資家を返上して誰かに任せたいと思った場合、どのように自分自身を守ればよいのでしょうか? 投資関連の詐欺に対する安全策を講じていると確認するために、彼らが注目すべきシグナルは何ですか?
ストークス: 私は、将来何らかの認知障害を経験するとき、どんな保護策を実施するかについて何ができるかを、一人一人が考えるべきだと思います。AARPが後援したプロジェクトによるthinkingaheadroadmap.org というサイトには実によく考え抜かれた解説があり、委任状を託してお金を任せる相手を選ぶ方法について知ることができます。このサイトは将来を考えている若年層から年配の人々まで広く対象としており、保健管理官の助けや委任状についてなどを知りたい人向けに作られています。私たち全員が遅かれ早かれそうしたことについて考えるべきだと思います。信頼できる連絡先を持つことは本当に重要です。あなたのファイナンシャル・アドバイザーはその役目を果たすことができるでしょう。銀行はそうした連絡先を提供していないかもしれませんが、頼むことはできます。
自分のアカウントについて信頼できる連絡先を設定すると、その人が自分のお金にアクセスできるようになってしまうと多くの人は考えています。しかし、それはまったく見当はずれです。私がファイナンシャル・アドバイザーや銀行と連絡が取れない場合に、必要であれば私の代理人に電話をかけることができる、ということです。たとえば、私はタヒチにいて、そのことを銀行やアドバイザーに話さず連絡がとれなかったとすると、必要であれば、私が信頼している人に電話をかけることができるのです。または、誰かが私をだましてお金を盗もうとしていると金融機関などが察知したとき、代理人に電話をして、何が起こっているのかを私に理解させる手助けをしてもらうことができます。
アーノット: それは成人した子供が両親を守るために、また、自分自身を信頼できる連絡先としてリストアップすることについて親と話すために利用できる方法かもしれませんね。
ストークス: そうですね。ただ、必ずしも子供である必要はありません。友達、姪や甥でもいいし、あなたがあなたの財政的な意思決定を任せたいと思う最も信頼する人を選べます。
ベンツ: さて、こうした状況すべてにおいて政府の役割についてお聞きしたいと思います。投資詐欺の増加は法律や規制の失敗だと思いますか? もしそうなら、あなたあるいはAARPの見解では、高齢者を保護するために行うべき明確な改善点はありますか?
ストークス: 必ずしも法律や規制自体の問題かどうかはわかりませんし、むしろ本当に私たちの政府業務グループの領域です。しかし、この大規模な詐欺の増加には、現在、本当に意味のある法執行機関の対応が欠けていると言えます。法執行機関は、この脅威と戦うという任務を果たせていません。それには多くの正当な理由があります――人手や情報などのリソースが足りない、人々がこれが犯罪であることさえ理解していない。そして、私が本当に探し求めているもの、広く支持を得ようと努めているのは、法執行機関、連邦法執行機関が、これらのバラバラに見える事件を一括して扱うための新しい方法です。
よくある詐欺の手口としては、真夜中に電話がかかってきて「孫のマイキーが飲酒運転や事故で本当に困ったことに巻き込まれ、今すぐにあなたの助けが必要です」と祖父母をだますものがあります。これは、1つの郡で1つ起こっている事件ではなく、全米で起こっています。もし、これらの事件を結びつけるリソースがあれば、9000ドル、1万ドルといった個々の窃盗事件ではなく、共通の加害者と結びつけられ、被害額は数百万ドルにのぼる事件であることがわかるでしょう。そうなれば捜査にFBIも参加することができるでしょう、なぜなら彼らが担当すべき全国規模の巨額の犯罪だからです。ですから、もし詐欺事件のケースについて関連性を整理した情報があれば、彼らの捜査に役立ちます。最初の一歩であるレベル1から始めるのではなく、もっと進んだレベル8のようなもので、彼らは悪者を逮捕して刑務所に入れるでしょう。
実際に現在、このように高齢者の詐欺に焦点を当てる取り組みが進行中です。そして、おそらく秋には何か取り組みが始まるのを見るでしょう。それは、National Elder Fraud Coordination Centerと呼ばれるもので、この種の詐欺の中でも特に巨額の被害が出ている高齢者相手の詐欺から始めることになります。おそらくその結果、すべての詐欺がまったく同じ犯罪組織によって行われていることが発覚するのではないでしょうか。ですから高齢者詐欺への取り組みを厳しくすれば、それ以外の人を標的とした詐欺から犯罪者を引き離すことにもなります。
<被害の報告をして情報共有を図る>
アーノット: このインタビューの準備としてAARPのサイトを見ていたのですが、郵便番号を入力して、あなたがいる場所から一定の距離内で人々が報告した詐欺の報告を見ることができるページがありますね。ところでAARPサイトには、詐欺被害に合ったことを報告する場所もありますか?
ストークス: 最初に指摘されたページは私たちの詐欺マップで、こちらaarp.org/scammap からご覧いただけます。そこでは自分の地域で報告されている詐欺について確認できますが、同時にレポート、つまり詐欺被害に合った場合に報告することも可能です。また、我々には「Fraud Watch Network Helpline」という全米ヘルプラインもあります。利用するのに、AARPのメンバーである必要はないし、特定の年齢以上などという制限もありません。あなたが直接被害を受けていない場合でも、ある詐欺事案について人々に知らせるために報告したい場合は、AARPに電話をすれば我々はその情報を連邦取引委員会と共有します。
Publishers Clearing Houseからの当選の報せが本物かどうかわからない場合は、お電話ください(※最高100万ドルの賞金を出すPCHの懸賞を騙る様々な詐欺が横行している)。また、詐欺を経験した場合や、愛する人が詐欺事案の真っ只中にいて、詐欺犯たちの心理的支配から抜け出させようとしている場合も、電話してください。対応可能な専門家が全国に約200人おり、何が起こっているのかについてあなたに話します。連絡先の番号は877-908-3360です。
ベンツ: 関連する質問ですが、キャシーさん、フィッシング詐欺か何かと思しきメールが届いたら、通常はそれを報告しますよね。そんな怪しげなものが来たとき、何が起こっているのかが正しく報告されていることを確認するために、どのような正式な手順を踏む必要がありますか?
ストークス: 重要なのは、明らかに詐欺の試みであるテキストを受け取った場合、もちろん関わりたくはないでしょう。しかし、少なくとも現在のAppleのiPhoneで受け取った場合、発信者または発信アドレスに心当たりが無いということを、迷惑メールとして報告する手順が備わっているはずです。「報告する」場合、政治的なスパム、一般的なスパム、詐欺の試みなど、6つほどの選択肢から選ぶことができます。つまり、「詐欺の試み」を選択するだけで、テキストメッセージの中で詐欺集団がその名を騙った企業は、リアルタイムでその情報をアルゴリズムに追加して、それらの犯罪が他の人を攻撃するのを防ぐことができます。こうした動きを触発できる、すごくクールな仕組みです。したがって、報告するのは大切なことです。
また、実際に盗難に遭った場合、もしお金の場合で何等かの形で銀行が関係している場合には、最初に銀行に連絡を取りましょう。お金を取り戻したり、お金が犯罪組織の手中に到達するのを止めたりするために銀行がとれる方策が何かあるかを確認するためです。また、盗まれたのが情報であろうとお金であろうと、即刻警察に連絡をします。法執行機関の対応は地域によって多少しばらつきがありますが、警察に被害届を出す必要があります。今では、これは犯罪であり、少なくとも誰かが警察に被害届を出せるようにするべきだという認識が高まっています。たとえ警察があなたを助けるために多くのことをできないとしても、あなたに何が起こったのかという記録は重要です。その記録は、将来、州レベルの基金または連邦基金などによる返還の機会が生じたときに、利用できる可能性もあります。また、被害者の一部の人は、加入しているホーム・オーナーズ保険(※火災保険に類似した住宅家財保険)がこのような経済的な損失をカバーしていることがわかるかもしれません。
アーノット: あなたはまた、FBIがこうした大がかりな詐欺や大規模な犯罪組織について捜査に関与しているとおっしゃいました。ふつう、どのようにして詐欺がそのレベルまで表面化するのでしょうか?
ストークス: FBIに対して直接報告できるインターネット犯罪苦情センターIC3.gov というポータルサイトがあります。そこで報告をして、FBIデータベースに登録されていることを確認してください。ただし、もし大きな損失を被って、その盗難があなたの生活に影響をおよぼしているのであれば、そこで報告するだけでなく、その報告を印刷して最寄りのFBIのオフィスを見つけ、そこに行って「助けが必要です」と伝えてください。あなたが持参した報告は、FBIが調べて、あなたを助けるために何ができるかを確認するのに役立ちます。
ベンツ: あなたとあなたのチームは、詐欺の被害者について我々がどんなふうに話すか、その話し方を改善しようというキャンペーンを開始しました。実際、あなたは第一声で「それは詐欺ではなく、犯罪なのです」とおっしゃったことに気がつききました。詐欺の被害者について昔から言われてきたのはどんなことで、彼らについて語る場合にもっと適した方法は何でしょうか?
ストークス: 「なんてこった、あなたがそんなことに引っかかったなんて信じられない」、あるいは「どうして彼らはそんなに愚かなのか? あれは明らかに詐欺だった」、あるいは「彼らは欺かれた」「だまし取られた」「詐欺にひっかかった」「詐欺にはまった」などの言葉を使って、私たちの社会は詐欺の被害者を責める傾向があります。私たちがこれらの言葉を言うとき、私たちは本質的に、あなたが無知だったことやあなたが何かしなかったことで被害に遭ったと言って、被害者を責めているのです。そして、私たちはそれを犯罪だとさえ思っていません。人々はさらに多くの取り組みを始めていますが、間違った場所に焦点を当てています。諸悪の根源として対処すべきは加害者です。非難すべきは、これらすべての背後にある多国籍犯罪集団やマネーロンダリング業者や資金移動屋たちであり、犯罪として追及すべきです。ところが、私たちはこうした問題は高齢者にしか起こらない、なぜなら彼らは認知機能の低下のせいで犠牲になるのだと信じて、自分には決して起こらないと思って、こうした詐欺を犯罪の中で優先順位の低い位置に放置してきました。その結果、今日米国で起きている最大の犯罪は詐欺である、と私は述べておきます。
アーノット: この仕事を続けてこられて、ご自身のお金に関してどのように扱うか、またはこの種の犯罪を避けるために取った措置について、何か変化したことはありますか?
ストークス: どんなことを注意すべきかを知っているので、かなり準備ができていると感じます。何よりも、犯罪者が得ようとしているのは感情的な反応です。しかし、だからといって、必ずしもすべてを把握する必要があるわけではありません。詐欺対策において本当に重要な情報は、教育が欠かせないということです。私たちはこの犯罪から逃れる方法を教育することはできませんが、祖父母への孫を詐称する詐欺や投資詐欺など、特定の詐欺スキームについて知識があれば、その詐欺の試みに関与する可能性が80%低くなることを示すデータがあります。ですから、そのようなケースでは知識が大きなに力になります。
ベンツ: キャシーさん、今回のお話では新たな知見を得ることができ、とても価値のあるインタビューになりました。貴重なお考えをお聞かせいただき、どうもありがとうございます。
ストークス: お招きいただき、どうもありがとうございました。本当に感謝しています。
アーノット: キャシーさん、どうもありがとうございました。
※ 本稿はMorningstarによるキャシー・ストークス氏へのインタビュー「The Long View」をモーニングスター・ジャパンが翻訳したものです。翻訳と原本に差異がある場合は原本の内容が優先されます。インタビューの原本(英語)とポッドキャストへのリンクはこちら(Kathy Stokes: How to Protect Yourself from Investment Fraud | Morningstar からご覧いただけます。
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