日銀のETF売却: 市場への影響は軽微、ただし出口戦略の始まりであり今後の動向は注視
日本銀行は2025年9月の金融政策決定会合で年間3,300億円(簿価ベース)のETF売却を決定しました。ただし、これが市場に与える影響はほとんどないと考えます。2025年3月時点で、日銀は簿価で約37兆円(時価では約70兆円)のETFを保有しており、これは約14年間かけて積み上げられたものです。発表されたペースで売却すると、全てを売却するまで1世紀以上(100年以上)かかる計算になります。
この売却規模は、市場の売買代金と比べると非常に小さなものです。2024年の東京証券取引所におけるETFの年間売買代金は約77兆円でした。日銀の推定年間売却額(時価ベースで6,000~6,500億円)はその1%にも満たない水準です。ETFは日本の株式に投資をしていますので、より広い視点で見ると、東証プライム市場の年間売買代金は1,200兆円を超えており、日銀の行動による影響がいかに限定的かがわかります。
投資家は日銀の売却に対して慌てる必要はなく、発表されたペースであれば過度に心配する必要もないでしょう。ただし、今回の決定は日銀の出口戦略の始まりを示すものです。今後、日銀がETF売却のペースを加速させる場合は、投資家は市場の流動性や価格形成への影響を改めて見極める必要があります。